コラムcolumn

2017/03/28

外国人留学生の採用

留学生を採用するメリットは何ですか?

例えば、ベトナムなどに現地法人をもっている企業だと、ベトナム人の留学生を採用し、日本で仕事の仕方を覚えてもらい、最終的にはベトナムに戻り、現地法人で幹部職として働いてもらう、などとすると、日本サイドと現地法人との一体性をもちやすくなります。仮に現地法人はないという場合でも、文化や言語に関する知識があるスタッフが加入することで、その国との取引がしやすくなる、ということがあります。また、一定の要件を満たすことを条件に、支援金を受けられることもあります。

留学生を採用する際の法的留意点は何ですか?

まずは、きちんとした就労ビザを取得するということです。留学生の身分のままでは就労できませんので、ビザを切り替える必要があります。外国人留学生に一番多く使われているのは「技術・人文知識・国際業務」という在留資格ですが、おおまかな要件は以下のとおりです。

①大学・専門学校卒業、又は一定数の実務経験があること
②技術、人文知識又は国際業務の職に就くこと
③日本の会社等と雇用契約・請負契約などを結ぶこと
④大学の選考と業務の間に関連性があること
⑤日本の会社等に経営安定性・継続性があること
⑥同一業務に従事する日本人と同等以上の報酬を受けること
⑦前科や不良な在留事実がないこと

ここで気を付けていただきたいのが、賃金です。外国人であるというだけで、日本人に支払う給与額と差をつけることはできません。労働基準法第3条が、労働者の国籍等を理由に差別的扱いをすることを禁止していま。また、上述のとおり、これはビザ取得の要件にもなっています。

夏休み等に留学生をアルバイト採用することはできますか?

留学生は原則としてアルバイトはできません。ただし、入国管理局で「資格外活動許可」を受ければ、一定の条件をもとにアルバイトを行うことが可能です。採用を前提に、夏休みを利用し研修をさせたいというニーズがある場合には、きちんと「資格外活動許可」を取得してください。この許可を受けている場合には、資格外活動許可書が発行されたり、在留カードの裏にその旨が記載されていたりしますので、これで確認が可能です。この点も、日本人の大学生をアルバイトとして採用する場合との違いになります。

外国人留学生を採用をする際の契約書はどうしたらいいですか?

外国人であっても、労働基準法や最低賃金法など、基本的に日本人と同様の法律が適用されますので、雇用契約書に記載しなければならない事項も、就業場所、賃金、休暇など、日本人と同じになります。ただ、外国人の場合には、外国人が雇用条件を明確に理解できるように、英語の契約書を作るなど工夫する必要があります。雇用の条件をしっかり理解してもらうことは紛争の未然防止のためにも大切なので、内容をしっかり理解しないまま、日本語の契約書にサインだけさせてしまうということは避けていただきたいです。更に、社会保険料や税金の控除などについては、国によって同じようなものがないことも多く、手取り額に差が出るポイントですので、しっかりと説明するようにしてください。

他に、外国人留学生の採用のポイントはありますか?

雇用対策法第28条により、外国人を雇用する場合は、雇い入れと離職の際に、氏名、在留資格などについて確認し、ハローワークへ届け出る必要があります。これは、正規雇用でもアルバイトでも一緒ですので、忘れないようにしてください。また、ハローワークが行っている支援として、「外国人雇用管理アドバイザー」というものがあり、外国人労働者の雇用管理や職業生活上の問題について、無料で相談にのってもらうことができます。