駐在員に関係する特別な法律はありますか
駐在員に関係する法律で大切なのは、日本でいうところの入国管理法と労働基準法です。その国に入国し滞在するにはどんな条件を満たさなければいけないのか、ということを定めているのが入国管理法です。そして、一週間の労働時間や残業代など、労働に関するルールを定めているのが労働法です。
駐在員とビザ
どの国にも、通常、イミグレーションロー、つまり入国管理法のような法律があり、そこで、ビザについての要件を定めています。例えばベトナムだと、15日を超える滞在の場合は目的に応じたビザが必要となっており、就労目的の場合には就労ビザが必要になります。また、ベトナムの場合には、ベトナムで働くためには、就労ビザとは別に労働許可証というものを取得しなければなりません。就労ビザは、ベトナムへの入国と滞在を許可するもので、基本的には出入国管理局が発行します。労働許可証はベトナム国内での就労を許可するもので、市・省の労働傷病兵社会局などが発行します。二つは目的と発行期間が異なりますので、やや紛らわしいですが、二つともそれぞれの手続きを踏んで取得しなければならないと理解してください。
ベトナムの労働許可証と就労ビザ
大きくいうと、まず労働許可書を取得し、そのあとに就労ビザを取得することになります。
労働許可証は新規の場合には申請から約10営業日くらい、就労ビザについては申請から5営業日くらいで取得できるとされています。
労働許可書を取得するためには、申請書やパスポートの写しの他に、勤務先の会社の投資証明書又は駐在員事務所設立許可書、健康診断書、無犯罪証明書、労働契約書又は任命書などが必要になります。健康診断は指定の病院で受けなければならなかったり、提出書類は公証が必要だったり、様々なルールがありますので、申請書類を準備するまでに、1カ月半から2カ月くらいは見ておきたいです。
就労ビザについては、勤務先の会社の投資証明書又は駐在員事務所設立許可書、印鑑証明書、労働許可証などが必要書類となり、労働許可証よりはややシンプルですが、公証が必要なものもありますので、こちらも余裕をもって準備をしましょう。
ビザに関する注意点
駐在員と出張者の境目について、気を付けていただきたいと思います。駐在員でない、いわゆる出張者の方がベトナムに滞在する場合には、商用ビザを取得することになります。商用ビザの期間は最長で3カ月です。このビザは何回までしかとれないという法律上の制限はないのですが、滞在期間が長かったり、取得回数が多かったりすると、労働許可証を取得しない不法就労とみなされる可能性がありますので、ベトナムへの出張が多い方や滞在期間が長い方は、このようにみなされることがないように気を付けてください。
駐在員の労働に関するルール
現地の労働法が適用されるというのが原則です。日本の労働基準法などは、日本国内にある事業所に対してのみ効力を有するので、外国の事業所に勤務する労働者に対しては、日本人であったとしても適用されないのが原則です。
もっとも、例えば、日本にいたころは有給休暇が年間20日あったのに、海外駐在になったために年間10日に減ってしまうというのでは、働く方のモチベーションが下がってしまいます。そこで、赴任前の条件が保証されるように、会社と従業員との間で個別の労働契約を締結するか、海外赴任規程のようなもので調整が図られていることが多いです。