貿易取引とは
貿易取引というのは、異なった国の間で物やサービスの売買を行うことです。海外から商品を買うことを輸入、海外へ商品を売ることを輸出といいます。サービスの場合には、例えば、外国にレストランをオープンするような場合、これはサービス貿易といわれ、貿易の一種と考えられています。また、これは少し意外かもしれませんが、ハワイへ旅行に行って、アメリカ資本のホテルに泊まる、アメリカ資本のステーキ店で食事をする、という場合、つまり消費者がサービスを受ける国まで移動してサービスを受ける場合も、サービス貿易に当たります。
貿易取引の特徴
貿易取引は、通常の国内取引と比べると様々な違いがあります。まず、取引相手との交渉段階における言葉が日本語でなくなりますので、これは大きな違いです。取引相手が中国だとかタイだとか、英語圏でない国の場合ももちろんありますが、貿易取引の共通言語はやはり英語です。お互いが英語ネイティブでない場合には、言葉の不十分さによる誤解がないよう、ネイティブ相手の時に比べてもより注意を払うべきです。次に、決済方法が異なります。外国送金であったり信用状であったり、貿易取引独特の決済方法があります。更に、法律による規制も異なります。例えば、貿易取引の場合、自社の製品や技術が外国で武器の開発などに利用されることを防ぐため、外為法や輸出貿易管理令という法律によって、一定の製品を輸出する場合には事前に輸出許可をとらなければならないことになっています。このような規制は貿易取引特有のものです。更に、文化、宗教、商慣習などの違いもあり得ます。
貿易取引のリスク
貿易取引においては、国内取引とは違うリスクを考えなければなりません。例えば、問題が起こったときにすぐ会って話し合って解決するということはできませんので、商品が届かなかったときはどうするか、代金を払ってもらえないときにはどうするかなど、色々なトラブルを想定して、あらかじめ契約書で決めておくこと必要があります。また、商品を長距離に渡り、船又は飛行機で運びますので、悪天候で到着が遅れるなど、輸送のリスクもあります。これについては、輸送方法、梱包方法を工夫すること、貨物保険をかけておくこと、そして、万一の場合の手当てを契約書で決めておくことなどが必要になります。更に、代金回収ができなかった場合にも、外国会社相手にレターを送ったり訴訟を起こしたりすると、国内以上に費用も時間もかかりますので、そもそも回収不能にならないよう、相手の信用度をよく調査する、決済方法を工夫する、支払い不能に備えた貿易保険に加入するなどの工夫が必要です。
はじめての貿易取引の場合
例えば、輸出業務が全く初めてだという場合であれば、いきなり自社で先程述べたようなことを行うのは大変だと思いますので、商社を通じて貿易を行うことも考えられます。商社を利用する場合、商社が、市場調査、信用調査、貿易手続、各種規制の調査などを行ってくれますので、手続きはかなり楽になります。ただし、商社に支払う手数料はある程度かかります。まずは商社を利用し貿易を進め、その間に社内手続きを確立し、徐々に自社での取引も増やしていく、というような流れもお勧めできます。仮に商社を利用するとしても、会社として貿易取引を行う以上、担当者が貿易実務を習得することは必須です。商社とのコミュニケーションにも、社内での説明にも、将来の自社取引にも、貿易実務の基礎知識は欠かせません。