商標の冒認とは
日本の会社の名前や商品名、更に日本の地名などが、主に中国などの外国で第三者によって登録されてしまう問題をいいます。例えば県名でいうと、中国で、2017年時点で29の県名が商標登録されています。「栃木」は、2017年時点では登録はまだされていませんが、出願されている状況です。札幌、名古屋、神戸などの政令指定都市名は既に中国で登録されており、南部鉄器、熱海温泉、九谷焼などの名称も登録されています。実務上、中国で商標登録をしようとしたところ、同一の商標が既に存在するとして登録を拒否されて冒認が発覚するということがよくあります。
商標の冒認はどう確認するか
中国商標局の発行する商標公報を閲覧するか、中国商標網というインターネットの検索サイトで確認できます。検索サイトは中国語ですが、ジェトロのホームページなどに翻訳や検索方法が載っていますので、これを見ながらであればご自身でも検索できます。もちろん国際業務を取り扱っている弁護士や弁理士に依頼すれば検索してもらえます。
自分の会社名や商品名が冒認されていたらどうするか
中国での商標登録は、出願後審査がなされ、登録が妥当と判断されると初歩査定という広告がなされ、初歩査定後3カ月以内に異議申し立てがなければ、認可登録がなされます。ですので、初歩査定期間中であれば、異議申し立てをするというのが一番よい方法です。既に認可登録されてしまっている場合には、商標の無効宣告を請求する必要があります。もしくは、長く使用されていない商標であれば3年間使用していないということを理由に商標登録の取り消しを請求することもできます。これは、中国国内の手続きになりますので、中国の弁護士を利用し、手続きを進めていくことになります。自社の社名や商品名に指名度があることの立証や、権利者の悪意の立証など、いかに証拠を集めるかがポイントになることが多いです。
商標権買取交渉
上記以外に、権利者との間で商標権買取の交渉をすることもあり得ます。もっとも、法外な価格を要求されることも多いので注意が必要です。実務上は、買取交渉をして価格で折り合いがつかないので無効宣言の請求に進む、ということもあります。
もしくは、当然ではありますが、商標の新規登録を試みることは可能です。登録したい商標と、既に登録されてしまっている商標が類似しない可能性があるようなケースでは、既に登録されている商標の有効性を争うだけでなく、新規の登録も同時に試みることができます。