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    2021/10/20

    「パワハラ防止法への対応」 ~中小企業も令和4年4月1日から義務化されます~

    「パワハラ防止法への対応」 ~中小企業も令和4年4月1日から義務化されます~

    1 中小企業への義務化
     パワハラ防止法は、令和2年6月1日に施行され、同日より大企業についてはパワーハラスメント防止措置を講じることが義務化されました。他方、中小企業についても、1年10か月間の努力義務期間を経て、令和4年4月1日から義務化されることになります。つまり、すべての事業者が義務化の対象となります。
     すでにパワハラ対策に取り組んでいる事業者の方もいらっしゃると思いますが、パワハラ防止法による義務化によって、具体的にどのような検討が必要となるのか、よく分からない方も多いのではないでしょうか。
     そこで、中小企業に対する施行前のこの時期に、改めてパワハラ防止法の概要と押さえておくべきポイント、防止対策の内容などについて解説します。

    2 パワハラ防止法の背景
     いわゆる「パワハラ防止法」とは通称名ですが、正式名は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(略称:労働施策総合推進法)といいます。
     厚生労働省が実施した調査( https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000783140.pdf )において、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した者は31.4%にも上り、また、都道府県労働局に対する「いじめ・嫌がらせ」の相談件数も年々増加傾向にあり、早急に対応すべき課題でした。
     そこで、パワハラ防止法は、パワーハラスメントの定義を行い、防止のための「雇用管理上の措置」の義務化や不利益取扱の禁止などの責務を明確化し、防止対策が強化されました。

    3 職場における「パワーハラスメント」の内容
     では、そもそもどのような行為が、パワーハラスメントに当るのでしょうか。まずは、パワーハラスメントの定義と内容を確認する必要があります。

     ⑴ パワハラの定義について
       厚生労働省が告示した「職場におけるハラスメント関係指針」(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/harassment_sisin_baltusui.pdf)によると、パワハラとは、「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③の要素を全て満たすもの」とされています。
       ただし、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

     ⑵ 「職場」について
      事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を示し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、「職場」に含まれます。
      (具体例)・出張先(ホテルなども含む) ・業務で使用する車中 ・取引先との打合せの場所(接待の席も含む)

     ⑶ 「労働者」について
       正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員などのいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。
       たとえば、派遣労働者についても、派遣元事業主のみならず、派遣を受け入れる派遣先事業主にも、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。

     ⑷ パワハラ3要素(①~③)の具体的内容について
      ① 優越的な関係を背景とした言動であり
       (具体例)
        ・職務上の地位が上位の者による言動
        ・同僚又は部下の場合であっても、知識面や集団性によって優越的関係性が認められる場合
      ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
       (具体例)
        ・業務上明らかに必要性のない、または業務の目的を大きく逸脱した言  動
        ・業務を遂行するための手段として不適当な言動など
      ③ 労働者の就業環境が害されるもの
       (具体例)
        ・労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなり、労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること

     ⑸ パワハラの6類型
       さらに、厚生労働者は「職場におけるハラスメント関係指針」( https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/harassment_sisin_baltusui.pdf )において、上記①~③のパワハラ3要素を踏まえ、代表的な言動の類型を6つの類型として具体的に示しています。

      Ⅰ 身体的な攻撃(暴行・傷害)
      Ⅱ 精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
      Ⅲ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
      Ⅳ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
      Ⅴ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
      Ⅵ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
       ただし、これらの類型は限定列挙ではないため、個別の事案の状況ごとに適切な対応をすることが必要です。どのような言動がパワハラに該当するかについては、厚生労働省のハラスメント対策サイト「あかるい職場応援団」において、簡易的にチェックすることもできます( https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/ )。

    4 事業主が、雇用管理上講ずべき措置の内容
     パワーハラスメントの定義・内容を確認しましたが、それでは具体的にどのような防止対策を行えば良いのでしょうか。
     厚生労働省の「職場におけるハラスメント関係指針」( https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/harassment_sisin_baltusui.pdf )では、事業主が雇用管理上、講ずべき措置として、以下の4つの措置を定めています。

     ⑴ 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
       ・職場におけるパワハラの内容やパワハラを禁止する旨の方針を明確にし、パワハラを行った場合には、厳正に対処する旨の方針や対処の内容を、就業規則等の文書に明記し、労働者に周知
       ・啓発する必要があります。
       ・社内報やホームページなどにパワハラの対策方針を掲載することや、定期的にパワハラの内容や発生原因などに関する研修や講習を実施することも必要です。このような研修や講習の実施を検討する際には、豊富な経験と実績を有する当事務所にご相談ください。

     ⑵ 相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
       ・実際にパワハラに関する相談に対応することができる相談窓口を設置することや、当該相談窓口の担当者が、内容や状況に応じて適切に対応できるようにすることが必要です。
       ・社外に弁護士等の専門家を窓口とする相談窓口を設置しておくことや、実際に相談を受け付けた際のマニュアルを定めておき、迅速にそして適切に対応できる制度を構築しておくことが有用です。
      令和4年6月までに改正公益通報者保護法の施行が予定されていますので、これを機に、これまでも多くの事業者様の外部相談窓口としての実績を有する当事務所にご相談ください。

     ⑶ 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
       ・パワハラが発覚した場合、事実関係を迅速かつ正確に確認し、確認できた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための措置と、行為者に対する措置を適正に行い、再発防止に向けた措置を講ずる必要があります。
       ・相談者と行為者に対する事実確認の際、事案の性質によっては、中立な第三者として、弁護士等の専門家から事実関係を聴取してもらうなどの措置を講ずる必要もあります。当事務所においても事実関係の聴取を含め豊富な実績を有しておりますので、ぜひともご相談ください。

     ⑷ ⑴から⑶までの措置と併せて講ずべき措置
       ・相談者や行為者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていること、また、就業規則等の文書に規定するなどして、相談したことを理由に解雇その他不利益な取扱いをしないことを、労働者に周知する必要があります。

     以上のとおり、事業主が雇用管理上講ずべき措置として、4つの措置が示されていますが、すでに対策が義務化されているセクシャルハラスメント等の防止対策と類似する部分が多く、これまでの経験を活かしつつ、パワハラ防止対策についても必要な措置を講じていきましょう。

    5 中小企業がパワハラ防止対策に取り組むメリット
     現時点で、パワハラ防止法に違反した場合の罰則規定は定められていません。
     しかしながら、規定に違反している事業者に対しては、厚生労働大臣が、助言、指導又は勧告をすることができ、これに従わなかった場合には、その事実が公表される場合もあります。
     上場企業などの大企業の場合はもちろんのこと、中小企業であっても、パワハラの問題が発覚すれば、企業の社会的信用を失墜させる可能性があります。
     その上、厚生労働大臣による指導勧告や事実公表によって、新聞やネットニュースなどに取り上げられることになれば、特に中小企業の場合、事業の継続すら困難となる場合もあります。
     また、パワハラの問題は、被害を受けた者が退職する可能性が高いというだけではなく、他の従業員に対しても職場環境の悪化を招く可能性があり、人材の流出という企業経営の根幹を揺るがす事態を招くこともあります。
     特に、中小企業にとって労働者の採用活動は大きな懸案事項でもありますが、近年、「ブラック企業であるか」という点を企業選択の重要なポイントと位置づけている就職希望者も増えており、会社としてパワハラ防止対策に取り組んでいるかどうかは、大きな評価対象となります。
     令和3年4月1日からは、このパワハラ防止対策に取り組むこと自体が義務化されますので、「今のうち」に対策を検討しておくことは、非常に会社にとってメリットがあります。
     パワハラ防止対策の検討にあたっては、ぜひとも当事務所にご相談いただき、会社の業種や規模に合った過度に負担とならない適切な対策を検討しましょう。
    以 上