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    2022/08/02

    「広告等に対する表示規制について」 その広告、「おとり広告」になっていませんか

    1 大手回転すしチェーンに対する措置命令

     まだ記憶に新しいところですが、本年6月9日、消費者庁は、全国展開する大手回転すしチェーンに対し、景品表示法第5条第3号(おとり広告)に違反する行為が認められたとして、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
     このニュースは、テレビ各局、新聞各社、ネットニュースなど通じて、瞬く間に全国に流れ、専門家、飲食業界、そして一般消費者を巻き込む大きな問題となり、大手回転すしチェーンに対する一般消費者の信頼が一瞬にして揺らぐという事態を招きました。
     ニュースでは、「おとり広告」という言葉が先行して各報道を駆け巡りましたが、具体的にどのような点に法的な問題があったのかを、本稿では整理していきたいと思います。

    2 おとり広告規制の概要と本件の問題点について

    ⑴ おとり広告表示規制について
     ア 景品表示法第5条は、一般消費者に商品・サービスの品質や価格について、実際のもの等より著しく優良又は有利であると誤認される表示(不当表示)を禁止しています。
       この不当表示には、優良誤認表示(同条1号)、有利誤認表示(同条2号)、その他誤認されるおそれのある表示(同条3号)の大きく分けて3つの種類があり、同条3号に基づく告示のひとつとして、「おとり広告に関する表示」(平成5年4月28日公正取引委員会告示第17号。消費者庁HP:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/case_002/が施行されています。
     イ この「おとり広告」には、以下の4つの類型(各号)が定められています。
      ① 取引を行うための準備がなされていないなど取引に応じることができない場合のその商品又はサービスについての表示
      ② 商品又はサービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示
      ③ 商品又はサービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示
      ④ 合理的な理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われるなど実際には取引する意思がない商品又はサービスについての表示
     ウ この点、本件大手回転すしチェーンの広告内容については、上記①と④の類型(各号)に該当するものとして、景品表示法に違反する不当な表示であると判断されました。
      そこで、以下、本件事案の内容について紹介します。

    ⑵ 事案について
     ア 消費者庁の報道発表資料及び各報道によれば、2021年9月から12月までの間に実施されたキャンペーン企画の対象料理として販売された料理のうち、「新物!濃厚うに包み 100円(税込100円)」、「とやま鮨し人考案 新物うに 鮨し人流3種盛り 480円(税込528円)、及び「冬の味覚!豪華かにづくし 780円(税込858円)」の3つの料理について、実際には販売を停止していた期間があった、又は初日から販売が行われていなかった店舗があったにもかかわらず、自社ウェブサイトやテレビCMなどにおいて、あたかも、キャンペーン期間中、各料理を提供するかのような広告がされていました。
     イ 具体的には、2021年9月8日~20日に販売された「濃厚うに包み」は期間中に4日間販売を停止する旨の決定がなされ、594店中583店(98.1%)で決定に基づき1日以上販売をしていなかったこと、そして同年9月8日~10月3日に販売された「新物うに 鮨し人流3種盛り」は期間中に3日間販売を停止する旨の決定がなされ、594店中540店(90.9%)で決定に基づき1日以上販売をしていなかったこと、さらに同年11月26日~12月12日に販売された「豪華かにづくし」は初日から販売していなかった店舗を含め605店中583店(96.3%)で1日以上販売をしていなかったことが、消費者庁及び公正取引委員会の調査で明らかとなりました(消費者庁HP:https://www.caa.go.jp/notice/entry/029023/
     ウ 消費者庁は、キャンペーン期間中にもかかわらず、各店舗に対し販売を停止するよう決定し、実際に各店舗において販売がなされなかった日があったという「濃厚うに包み」と「新物うに 鮨し人流3種盛り」の二つの料理については、それぞれ④「合理的な理由がないのに実際には取引する意思がない場合」の表示にあたり、おとり広告に関する表示第4号に該当するものと判断しました。
       また、キャンペーン期間中にもかかわらず、初日から販売が行われなかった店舗も含め実際に各店舗において販売がなされなかった日があったという「豪華かにづくし」の料理については、①「取引を行うための準備がなされていない場合」の表示にあたり、おとり広告に関する表示第1号に該当するものと判断しました。
     
    ⑶ 本件問題点について
     ア 本件では、それぞれの広告表示において、「売切御免!」や「1日数量限定」などの表記がなされていましたので、店舗側からすれば、売り切れた時点で販売が停止されることを予告していたのであるから、一般消費者に誤認されるおそれはないと考えていたと思われます。
       しかしながら、消費者庁及び公正取引委員会としては、食材の供給量が限定された高級食材であるにもかかわらず、大々的にキャンペーンを告知して集客していたことや、品切れや販売停止という事態になったとしても、それを告知せずに集客を続けていたこと、そして、実際に店舗を訪れ該当料理の提供を受けられなかった消費者からの苦情が相次いだことなどの事情を踏まえ、「おとり広告」として、景品表示法に基づき措置命令を行ったものと考えられます。
     イ 本件は、大手回転すしチェーンという多くの一般消費者を巻き込んだものであったため、その社会的な影響から、消費者庁が調査に乗り出し、措置命令に至ったという事案です。
        もっとも、街中にある飲食店や小売業者、サービス業者においても起こり得る事象であり、実際に「売切御免!」という看板や「1日数量限定」という表記は街の至る所で見掛けます。
       すでに商品やサービスが品切れしているにもかかわらず、「売切御免!」や「1日数量限定」を謳って消費者を店舗に招き入れ、別の商品やサービスを販売したりすることは、まさしく「おとり広告」に該当し、景品表示法に違反します。
     ウ 本稿では、景品表示法第5条第3号に基づく「おとり広告」に焦点を当てて説明しましたが、同法には、「おとり広告」規制の他にも、先にも述べた「優良誤認表示」規制や「有利誤認表示」規制も定められています。
        自社の商品やサービスをより多くの消費者に選択してもらいたいという想いからつい過剰な広告表記となってしまい、実際よりも著しく優良又は有利であると消費者を誤認させてしまうという事態に陥らないよう、本稿を機会に、再度、景品表示法(表示規制)についての知識(消費者庁HP:https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/)を整理しましょう。
     エ 今後、自社の広告表示に関し、不明な点や判断に迷う点があれば、ぜひ弁護士などの専門家に相談した上で、不測の事態に陥らないよう万全を期しましょう。