1 これまでの法令の定め(1)給与支払いの原則
給与(賃金)は、労基法上、通貨で、労働者に直接、全額を支払わなければならない、という原則があります。
労基法の原則では、給与は現金で支払うこととなっています。
(2)口座振込による支払い
しかし、給与の現金払いは、広く、口座振り込みにより行われており、現金払いは実態とあまりにかけ離れています。
労基法施行規則では、労働者の同意を得て、労働者が指定する金融機関の本人名義の口座に振り込むことを認めています。
2 令和5年4月から電子マネー等での賃金支払いが認められます 法改正後は、労働者の同意を得て、100万円相当額以下の送金のみを扱う第二種資金移動業を営む資金移動業者(スマホ決済アプリの「〇〇ペイ」等の多くが該当します。)の内、令和5年4月1日以降に厚生労働省の指定を受けた業者に支払うことで、賃金支払ができるようになります。
労働者から得る同意書例は、厚生労働省の通達で示されています(令和4年11月28日基発1128号第4号「賃金の口座振込等について」別紙。URL:
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T221129K0030.pdf)。
3 会社側の対応 これは、賃金の支払方法の選択肢が増えるものですので、義務として対応しなければならない、というものではありません。
会社側のメリットとしては、振込手数料の負担軽減や、口座開設のハードルが高いとされている外国人労働者等に給与を支払う際の利便性等が指摘されています。
労働者側のニーズの有無等を把握の上、段階的に導入していく、などの対応が考えられます。