(1)事前の対応
事業者は、各障害者に対する合理的配慮が適切にされるよう、あらかじめ法律の内容、障害特性や合理的配慮の具体例を知っておくと役立ちます。障害特性や合理的配慮の具体例については、内閣府の「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」(
https://shougaisha-sabetukaishou.go.jp/)が参考になります。また、事業者に向けて、事業を所管する国の行政機関が対応指針を定めているため、内閣府ホームページの各対応指針(
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html)を参照することも有用です。
これらを参照したうえで、社内マニュアルの確認、従業員への研修の実施、施設・設備の見直しを行っておくとなお良いとされています。このような事前の措置は、あくまで努力義務となっていますが、障害者が多数見込まれる場合や障害者との関係が長期にわたる場合には、都度合理的配慮を検討し提供するのではなく、環境の整備を行うことが効果的です。
(2)実際の対応
今回の改正で事業者に求められていることは、主に個々の場面で合理的な配慮が求められた場合に適切に対応することです。
障害者から何らかの対応を求められた場合には、障害者と事業者とが対話をし、両者が実現可能な対応策を考えることが重要です。たとえば、精神障害のある人から、大勢の人がいるところで順番待ちをすることが困難であるため別室での順番待ちを求められたが、別室の確保が難しいような場合、別室の確保が出来ないことを理由に対応をしないのではなく、パーテーションで待合室を簡易に区切ってスペースを作り、その場所での順番待ちが出来るようにするといった対応が必要となります。
すでに述べたとおり、「合理的配慮の提供」の義務化は、過度な負担を義務化するものではありませんので、事業者にとって過度な負担となることや通常刑罰の対象となる行為をも許容する必要はありません。