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    2022/04/14laborLabor Law

    Handling of employees' side or concurrent jobs

    従業員の副業・兼業についての対応

     従業員の副業・兼業については、これまで多くの会社が就業規則において原則禁止としてきました。しかし、一方で、近年は、政府による働き方改革の推進や、コロナ禍による働き方の変化などにより、従業員の副業・兼業は増加傾向にあります。もし、従業員から副業・兼業についての申し出があった場合、副業・兼業を認めるべきなのか、認める場合には具体的にどのように対応すべきか、よく検討されていない事業者の方も多いのではないでしょうか。
     そこで、本稿では、従業員の副業・兼業についての対応にあたって注意すべき点などを解説します。

    1 副業・兼業の制限の可否

     まず、そもそも、会社は、従業員の副業・兼業を制限することは許されるのでしょうか。
     従業員は、雇用契約上の労働時間内においては会社の指揮命令に従うべき義務を負っていますが、労働時間外の時間をどのように利用するか原則として従業員の自由です。したがって、会社が従業員の労働時間外における副業・兼業を制限するためには、相応の理由が必要となります。

    2 副業・兼業を制限することができる場合

     では、会社が従業員の副業・兼業を制限できる場合とは、具体的にどのような場合でしょうか。厚生労働省が公表するモデル就業規則においては、これまでの裁判例を踏まえ、以下の4つの場合には、副業・兼業を禁止又は制限できる旨定めています。

    ⑴ 労務提供上の支障がある場合
      労働時間外において副業・兼業を行うことは、労働時間が長時間に及ぶ可能性が高くなるため、それにより従業員が心身の健康を害し、本業における業務遂行に支障を来すような場合には、労務提供上の支障がある場合として副業・兼業を制限することも許されます。

    ⑵ 企業秘密が漏洩する場合
      従業員は、雇用契約上、就業規則の規定の有無に関わらず、在職中、会社の業務上の秘密を守る義務(秘密保持義務)を負っています。したがって、従業員が副業・兼業を行うにあたって、会社の業務上の秘密を副業・兼業先で漏洩する可能性がある場合には、企業秘密が漏洩する場合として、副業・兼業を制限することも許されます。

    ⑶ 競業により企業の利益を害する場合
      従業員は、雇用契約上、就業規則の規定の有無に関わらず、在職中、会社と競合する業務を行わない義務(競業避止義務)を負っています。したがって、会社の同業他社において副業・兼業を行うことにより競業避止義務に違反する場合には、競業により、企業の利益を害する場合として、副業・兼業を制限することも許されます。

    ⑷ 会社の名誉や信用を損なう場合や、信頼関係を破壊する行為がある場合
      従業員は、雇用契約上、秘密保持義務や競業避止義務を負うほか、会社の名誉・信用を毀損しないなど誠実に行動する義務(誠実義務)を負います。 
      したがって、従業員が会社の名誉や信用を損なうような副業・兼業を行う場合や副業・兼業を行うことが信頼関係を破壊する行為といえる場合には、副業・兼業を制限することも許されます。

    3 副業・兼業を認める必要性

     上記のとおり、法律上は、副業・兼業を一律に禁止することはできないと考えられています。そうだとすると、副業・兼業を一律に禁止としている就業規則は、今すぐに変更したうえで会社は副業・兼業を容認しなければならないのでしょうか。
     この点については、必ずしも副業・兼業を容認しなければならないということはありません。
     しかしながら、副業・兼業を一律に禁止としている会社において、従業員が副業・兼業を行ったという違反行為があった場合、当該違反行為をもって懲戒処分や解雇を行うことができるかというと、上記2で記載したような理由が認められないとして懲戒処分や解雇の有効性が争われる可能性はあります。
     このような観点からすれば、会社として、副業・兼業を認めてもよい場合があれば、副業・兼業を認める場合に従業員が遵守すべきルールを事前に就業規則等において定めておいた方が、懲戒処分や解雇の有効性が争われるリスクは減り、紛争を未然に防ぐことができるといえます。

    4 副業・兼業を認める場合の注意点

     それでは、会社として副業・兼業を認める場合には、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。

    ⑴ 就業規則等の整備 
      まずは、就業規則や雇用契約等において、会社が一定の場合には、副業・兼業を禁止又は制限できることを定め、届出により認める(届出制)のか、許可する(許可制)とするか決める必要があります。
      また、就業規則に違反する副業・兼業を行った場合の懲戒処分についても具体的に規定しておくことも重要です。

    ⑵ 労働時間の通算管理
      ア 労働時間の通算が必要となる場合
        労働時間は、使用者が異なる場合であっても、通算することとされているため、本業と副業・兼業先それぞれの労働時間を通算する必要があります。もっとも、副業・兼業が以下の場合には、労働時間を通算する必要はありません。
        ①委託契約等により業務を行う個人事業主など労働基準法上の労働者に該当しない場合
        ②管理監督者など労働基準法上の労働時間規制が適用されない場合
     
      イ 割増賃金の負担
        労働時間を通算した結果、時間外労働が発生する場合、割増賃金の支払義務を負うのは、法定労働時間を超えて当該労働者を労働させることとなった使用者です。したがって、本業より後に労働契約を締結した副業先において割増賃金を負担することとなるのが一般的です。
        もっとも、例えば、本業先における所定労働時間が7時間、同一の日に副業・兼業先において所定労働時間を3時間とする労働契約を締結した場合には、本業先で8時間労働した際に生じる所定労働時間外の1時間分については、本業先の使用者において割増賃金を負担する必要があります。
        したがって、副業・兼業を認める場合には、副業・兼業先における所定労働時間や実際の労働状況について従業員から申告を受ける必要があります。

      ウ 簡便な労働時間管理の方法
        労働時間の通算管理は、労使双方にとって手続上の負担が大きいため、厚生労働省は、より簡便な労働時間管理の方法として管理モデルを紹介しています。管理モデルは、設定した労働時間の範囲内で労働させる限り、副業・兼業先における実労働時間を把握することなく労働基準法を遵守することができます。従業員の副業・兼業を容認する際に、管理モデルを導入することを要件とすることも可能です。

    ⑶ 副業・兼業の内容の確認や説明
      従業員から就業規則に基づいて副業・兼業に関する届出や申請を受けた場合、副業・兼業を禁止又は制限すべき理由がないかを検討するために、副業・兼業先の事業内容、業務内容、上記⑵で記載した労働時間の通算管理の要否の確認を行う必要があります。
      また、労働時間の通算管理が必要となる場合には、副業・兼業先との雇用契約の内容(締結日、期間、所定労働日、所定労働時間等)について、従業員から雇用契約書や労働条件通知書等の交付を受けることなどにより確認する必要があります。
      その上で、副業・兼業を認める従業員に対しては、副業・兼業について就業規則の定めに違反した場合や会社に損害が生じた場合の懲戒処分や損害賠償の可能性があることについて具体的に説明した上で、誓約書を作成することも有効です。
      副業・兼業の開始後は、定期的に副業・兼業先における労働状況を確認し、長時間労働等によって健康を害することがないように配慮し、健康確保措置を講じる必要があります。
      
    ⑷ 労災保険、雇用保険、社会保険の適用関係
      労災保険については、従業員が副業・兼業をしているか否かに関わらず、雇用している以上は、加入手続きを行う必要があります。
      雇用保険については、複数の会社等で雇用されている従業員がそれぞれの雇用関係において被保険者要件を満たす場合、その者が生計を維持するために必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ被保険者となるとため、副業・兼業を認める際は、いずれの事業所で雇用保険に加入すべきか確認が必要です。
      社会保険(厚生年金保険及び健康保険)については、複数の会社等で雇用されている従業員が、いずれの事業所においても被保険者要件を満たさない場合、労働時間等を合算して要件を満たすことはありません。一方、いずれの事業所においても要件を満たす場合、被保険者がいずれかの事業所の社会保険を選択し、各事業所の報酬を合算して保険料が決定されます。その上で、各事業主は、被保険者に支払う報酬の額により按分した保険料を納付します。

    5 最後に

     従業員に副業・兼業を認めることは、これまでご説明したとおり、会社としては、企業秘密の漏洩や競業のおそれなどがあるため、一定のリスクを伴います。
     しかし、従業員が副業・兼業を行うことにより、本業における業務のみでは得られない知識や技術を獲得し、それが本業に還元される可能性があることや、優秀な人材の獲得や流出の防止ができることなど会社側にメリットとなる場合もあります。
     これらのことを踏まえ、これを機に副業・兼業についての制度を見直してみることも一つの考えではないでしょうか。
     副業・兼業制度の見直しにあたっては、労働基準法等の法令に沿った上で、会社の実態に即したものとすることが重要となるため、ぜひ当事務所にご相談ください。

    以  上